コロナについて教育の立場から思うこと。

このたび、COVID19(新型コロナウイルス)の影響を受けて、考えたことを発信します。

休校が必要だったのか

ふつうの生活が続いている。

 

最後に大勢での飲み会に参加してから一年以上経っている。

夜はまっすぐ家に帰るのがふつうになった。

誰とも約束をしないのがふつうになった。

職場の人としかしゃべらないのがふつうになった。

お昼ごはんはみんなでYouTubeを見ながら黙って、がふつうになった。

旅行に行きたいと考えないことがふつうになった。

パスタやインスタントラーメン、マスクやトイレットペーパーは多めに買っておくのがふつうになった。

一日一回は体温を計るのがふつうになった。

洗える服を買って、こまめに洗濯するのがふつうになった。

出勤したらすぐ、帰宅したらすぐ、しつこいほど手を洗い、ハンドクリームを塗るのがふつうになった。

ハンドクリームは皮膚科で処方してもらう強力なものがふつうになった。

出張がかなり減って、zoomで会議というのがふつうになった。

マスクをつけているのがふつうになった。

 

コロナ以前と比べたら、「ふつう」の概念がものすごく違っている。

 

コロナ以前は、なんと無防備に、他人が触れたものや他人の唾液や鼻汁などの飛沫に接して生きていたんだろうと思う。

 

新しい生活様式、を、かなり実践していて、それがふつうになっているのだと思う。まさに、ニューノーマル

 

でも、緊急事態宣言というのは、こういう「ふつう」の中でいいのかと思う。たとえ、「新しいふつう」でも。

私はテレビのニュースもあまりチェックしなくなったし、行政からのLINEも流し読み。ただただ増減するだけの数字をスルーするようになっている。

 

今回の緊急事態宣言の失敗は、インパクトとわかりやすさがないことだ。

前回、もっともインパクトがあり、わかりやすかったのは、休校だ。

休校で仕事に行けない論がまず起こるというのはおかしいのではないかと私は考えていた。でも、そうだったのだと今ならわかる。休校で子どもが家にいることにより、学校ですら休みになるのだから会社も、という考え方が生まれた。そして、子どもが家にいるから出社できないという人が多数いたために在宅ワークの必要性が非常に高かった。

休校、そして在宅ワークに伴って、家で食事を取らなければならなくなり、パスタやインスタントラーメン、ホットケーキミックスが売れすぎて欠品になった。そのほかの食材もどんどん売れた。そのスーパーの棚の異常は報道の絵的にインパクトがあるものだった。

メディアには「8割おじさん」が出てきた。人との接触を8割減らせと西浦先生はわかりやすく言った。Twitterなどを使って発信をした。彼はデータ屋さんだから、データに基づいて話をする。やがて彼は叩かれ、メディアに出なくなる。事情は知らないけれど北海道大学から京都大学に来て、研究をされている。私は西浦先生の論は、研究者としてごく真っ当だと考える。ただ、実際にはデータで計り知れないことはあるし、行政やメディアは都合が悪くなると離れていくということはわかった。

安倍さんはこのコロナのどたばたには向いていない人。だから、彼はこのどたばたに向いていた。棒読みやとんちんかんな返答やずれた政策などで、一身に批判を浴びた。批判を浴びるのに向いていた。すべてが安倍さんのせいにできた。

選挙前の吉村知事は目立ったし、小池さんも毎日華やかなお洋服とマスクで目立った。いつのまにか二人ともあまり目立たなくなった。発言等に慎重になってしまった。

国会も混迷を極めた。みんなが関心を持ちやすい話題だったため、Twitterなどで丁々発止のやりとりが拡散された。9月入学論は混迷の最たるものだろう。

みんなが暇だった。とりあえず子どもも学校に行かない、大人も会社に行かない、という毎日だった。

 

今回、学校がある。

すると、在宅ワークでなくてもいいのだ。実は子どもが家にいないなら在宅ワークしやすくなるのだけど、出社した方が仕事が捗ったり、出社の人と在宅の人とが混在するなら出社の方を選択したりして、前回ほど在宅ワークをしていないと思うのだ。

子どもが家にいる状況が「緊急事態」だったのではないだろうか。

 

学校を一斉に休みにしたのは、私は愚策だったと思っている。

でも、今、学校が全くふつうに通常通り行われているのは、少なくとも意識面においてよくないと思う。もちろん、学校の中では、グループワークができなかったり、音楽や体育などですることを選ばなければならなかったりで、コロナを意識しているんだけど、それは一般の人には伝わらない。

学校は続けるべきだ。いちいちコロナに反応していたらやっていられないから。…会社もではないか?

学校は続けるべき、でも、分散登校や時差登校、部活動の休止などでラッシュ時を避けて帰すなど、なんらかのことは必要なのではないか。

学校が一番経済的影響が少なく、政府が思うままにできる機関であり、パフォーマンス効果が高いなら、今回も学校を操作することで会社も間接的に操作できるのではないか。

 

ただ、個人の「自粛」が求められるだけでは、だめだと思う。

政府がほんとうは緊急事態宣言なんて出したくなくて、自分に一番被害がなさそうなように、飲食店と8時以降の外出のみを強調する(他にもたくさんあるだろうことは想像できているが)のは、よくないんじゃないか。

 

春の長期間一斉休校は愚策であり、もう二度とするべきではないと私は考えている。

でも、あの効果というものについてしっかり考えるべきだと思うのだ。