コロナについて教育の立場から思うこと。

このたび、COVID19(新型コロナウイルス)の影響を受けて、考えたことを発信します。

大学受験の大枠を示してほしい

大学受験を控える子たちがかわいそうだ。

とくに、現役の、高校三年生。

この学年から大学入試が変わる、と、随分前から言われて、プレッシャーを感じながら勉強してきている。そして、試行錯誤の授業や模試を受けて、自分たちも試行錯誤の中勉強してきているはず。コロナがなくても、不安のかたまりでしかない学年。

 

最も変わると言われていたのは「センター試験」だ。名前も変わる。傾向も変わるし、内容も変わる。それに合わせて各大学の傾向も変わる。

記述が出るとあれだけ言われていたのに、結局、記述は採点が難しいという、最初っからわかりきっていた問題が理由で、なくなってしまった。業者との癒着疑惑という、教育現場や受験生にはまったく関係のない問題もあり。試験自体も、模試をしてみたら問題続出で、さていったいどういう風になるのかよくわからないままだ。

 

英語の民間試験も。あれだけ大騒ぎして登録して、その直後に、なくなった。ほかの科目や違う方向の勉強に頑張ることができたはずの時間が、英語の民間試験に向けられていた。共通登録はなくなっても、それでもやっぱり、民間試験は大学受験に必要、というムードは変わらないので、みんな冬に多少の無理をしてでも勉強をして受けたのでは。そして、この一学期の試験に賭けてる子も多かったのでは。勉強したことはいつか役立つよ、と言っても、すぐ目の前の大学受験のため、と、いつか、というのは全然意味合いが違う。

 

各種推薦を受けるつもりだった子も多いはずだ。留学をしていた子は途中で帰国した。春の大会やコンクールはなくなった。このままだと、夏の大会やコンクールもないだろう。授業もままならない中、クラブをしている余裕はない。それこそ、「不平等」。冬までに、推薦の材料にできる事柄を成し遂げられた子はいいけれど、春や夏に期待をしていた子たちは、材料を用意できない。

そして、各種推薦の中でも、指定校推薦は学校の定期考査を主とした成績がメインだ。高2の三学期は期末試験ができなかった学校が多いだろう。高3の一学期の定期講座もおそらくできない。ここに向けて一生懸命頑張ってきた子はどうなる?仕方ないと言えば仕方ないけれど、かわいそうすぎる。

春に予定されていたオープンキャンパスにも行けない。春から始まるような入学体験型の入試がどうなっているのかもわからないし、夏休みの入試だってどうなるかわからない。

 

こんな、すべて、すべてが振り回されている学年は不幸でしかない。

 

コロナ単発なら、不運だね、で済むかもしれないけれど、

共通テストと英語民間試験でさんざん振り回された上で、だ。

しかも、世の中、入試の日程はどんどん前倒しになっていて、推薦入試だらけ。大学のオープンキャンパスやワークショップに参加することで、入試を受ける権利を得られるような入試もある。それがどうなるかわからない。もし、参加型の入試が行えたり、ペーパー試験が行えたりしても、一部の地域が感染のために移動できないかもしれないし、そもそも受験生自身が感染者や濃厚接触者になってしまって入試会場に行けないどころか入試自体を受けられないかもしれない。

 

大学受験がどうなるのか、まったく示されていないのが現状。

とくに、推薦入試については。大学ごとに異なりすぎて、種類が多すぎる。共通試験と国公立については、受験人口が多いから、いつかは方針が示されるだろうけど。

 

家計を理由に大学受験を諦めざるを得ない子、進学先を妥協せざるを得ない子もいるだろう。

 

9月入学論、が世間を賑わせているけれど、まずは大学受験がどういうふうになりそうかだけでも大枠を示してあげてほしい。

このままでは受験生がかわいそうすぎる。

 

高校受験は、まだここまで振り回されていないし、形式の種類も少ない。高校入学率は100%に近いから、中学の学習範囲が途中で終わっても、入試の範囲をそこまでにして、ある程度高校で未修範囲をフォローしてあげることができる。はず。教員免許の中学と高校は違うけれど、それくらいは特例で。

でも、高校の内容を大学に持ち越すことはできない。それはあまりにも違いすぎる。

 

大人になってしまえば、学校歴なんて、と言えるかもしれない。でも、私は大学受験で苦い思い出しかなくて、今でもそれで僻んでいる部分が大いにある。もちろん、受験は人生のごく一部に過ぎないし、受験だけを目的として勉強をするわけでもない。

でも、でも、あまりに今の高校三年生の学年はかわいそうだ。

どうにかしてあげてほしい。

早く示してあげてほしい。